【書評】空飛ぶタイヤ 池井戸潤

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こんにちは、みどり屋(@midoriya_eiji)です。

本日は池井戸潤さんの「空飛ぶタイヤ」をご紹介したいと思います。

本作品は池井戸作品では初の映画化を予定されています。

あらすじ

中小企業の赤松運送が所有するトレーラーから走行中タイヤが外れ、通りかかった母子に当たった。この事故で母親が死亡、子供は軽傷で助かった。

整備不良を疑われ赤松運送には陸運局と警察の家宅捜索が入り、社長の赤松徳郎は家族ともども世間からバッシングを受ける。

警察に車両の検証を依頼されたトレーラーメーカーのホープ自動車は、整備不良の結論を出し、警察に報告する。納得できない赤松は検証の際に取り外された部品の返還を求めるが、ホープ自動車は容易に応じない。

一方ホープ自動車の内部でも部品を返還するしないで権力闘争が起こる。販売部の課長、沢田は返還すべきと主張するが、常務の狩野を中心とした品質保証部は理由も秘密にしたまま返還に応じない。誰のための会社なのか疑問を感じながらも沢田は販売部の保身のため社長に直訴する。

東京ホープ銀行の井崎はホープ自動車の追加融資の要求に頭を抱えていた。下方修正された事業計画書の信頼性について、疑問があるからだ。そんななか週刊誌の記者、榎本から取材を受ける。ホープ自動車が同様の事故が多発している事を隠しているというのだ。

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登場人物

赤松徳郎

主人公、赤松運送社長、父親から会社を受け継いで懸命に会社を守ってきた。社員を大切に考える熱い男。

沢田悠太

ホープ自動車の販売部課長、旧財閥系企業の体質に疑問を感じつつも、その中で生きてゆく術は身につけていて、したたかに立ち回ろうとする。

狩野威

ホープ自動車常務取締役、品質保証部出身、次期社長の声も高い。秘密会議、T会議の責任者。3年前のリコール隠しの後、ホープ自動車の企業体質強化を担ってきたとされている。

井崎一亮

東京ホープ銀行行員、ホープ自動車への融資を担当するが融資推進派の役員とリコール隠しの疑惑の間に揺れる。

まとめ

本作品は言わずと知れた三菱自動車のリコール事件をもとにしています。登場するホープ自動車の社員役員は見事なまでに顧客軽視、人命軽視の態度をとり、すがすがしくらいに悪役ぶり発揮してくれます。

また主人公の赤松はじめ、登場人物の怒り、悲しみ、不安などの感情描写が丁寧で生き生きと描かれています。

文庫本としては非常に厚く837ページにも及ぶのですが、比較的スムーズに読み終えました。登場人物のキャラが立っていて、グイグイと引き込まれたためだと思います。

本作品はお勧めの1冊です。ぜひお読み下さい。

映画化が盛り上がっているようで

6月15日に封切りです。こちらも面白そうですね。予告動画を御覧ください。

ではまた(^^)

 

追伸

東洋経済オンラインでも紹介されています。

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